vol.100

教材多様化への挑戦
一般社団法人日本図書教材協会副会長
川野辺敏

 日本教材学会設立後四半世紀が経過したが、この間の教育改革は教材の多様化及び研究の深化を求めるものでもあった。「個性重視の原則」に沿って基礎基本を確かにすることに対応しているのか、「生涯学習体系への移行」の観点から生涯学習の基礎を培うものになっているのか、「社会の変化への対応(国際化社会及び情報化社会への対応)」の原則に応じ、外国の言語・諸文化の学習あるいはデジタル化社会に対応したものであるのか、などが問われ続けてきたのである。

 こんな中で、現在「教材事典」作成の最終段階に入っているが、執筆者の皆さんはこれらの変化を視野に入れ、構成や内容を考えて執筆に当たってくれたはずである。ちなみに、学会の名称を英文でどう表現するかという課題が提起され、「The Japanese Association of Teaching and Learning Materials」と決定することにした。これも、教材が単に「授業・教授教材」としてのみでなく、子ども自身で学ぶ学習材を含むという意味で、加えたものである。ともかく、教材に対する要求は複雑・多様化(「教授と学習」「デジタルと図書」「総合と各教科」「知識・技能とその活用」及びそれらの「総合」)している。

 ただ、要求の変化・多様化の中で子ども達の日常はその一つであるデジタル化の波に埋没しそうな状況にある。中学生の場合、自分専用の携帯電話保有率(PHS・スマートホンを含む)は46.2%、インターネット平均利用時間76.4分(2013年内閣府「青少年のインターネット利用環境実態調査」)、という結果だけを見ても、子ども達の将来の生活はどうなってしまうのか心配になる。生活実態に配慮した教材の必要性と同時に、それによる負の部分を解消する教材のあり方が、あらためて問われているといえよう。

〜図書教材新報vol.100(平成25年8月発行)巻頭言より〜