vol.102

求められる教科横断の教材の開発
一般社団法人日本図書教材協会理事
星槎大学大学院教授
新井郁男

 新学習指導要領の土台となった中央教育審議会の答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」(平成20年1月17日)は、「社会の変化への対応の観点から教科等を横断して改善すべき事項」として、情報教育、環境教育、ものづくり、キャリア教育、食育、安全教育などをあげているが、これらの事項についての教材はどのように開発したらよいだろうか。

 教科書は、わが国では制度上、単なるtextbookではなく、教科用の主たる教材で教科ごとに編成されており、教科を横断する教材をどうするかは学校に委ねられている。しかし、各学校が編成する教育課程は、教科、道徳、総合的な学習の時間、特別活動などによって構成されており、時間割上、教科等を横断する事項を個別に扱う時間を特設することはできないであろう。一般的には、「総合的な学習の時間」において取り上げるものと考えられているようであるが、前記のような多くの事項を提言しておきながら、「総合的な学習の時間」が、ゆとり教育反省の観点から縮小されたのは、大きな矛盾ではないかと思われるが、その制約を前提にして考えるならば、教科横断的な事項は、すべての教科等において、それぞれの目標と関連付けて、教材を開発する必要があるのではないだろうか。

 しかし、その場合でも、事項ごとに教材を開発するのではなく、各事項を横断する教材を考えなくてはならないであろう。例えば、環境教育については、答申は「科学的なものの見方や考え方をもたなくてはならないことを学ぶこと」と指摘しているが、この目標は、教科等を横断する事項すべてに関わっている。科学的なものの見方や考え方を単に抽象的ではなく、各事項を融合させて具体的に考えさせることが求められる。

 学校が現行の教育課程のなかで、実践可能な教材の開発を期待する。

〜図書教材新報vol.102(平成25年10月発行)巻頭言より〜