vol.109

教育委員会改革を考える
一般社団法人日本図書教材協会会長
菱村幸彦

 60年ぶりに教育委員会制度が大きく変わろうとしている。今回の改革は、終始、政治主導で行われたと言ってよい。

 始まりは、小泉首相の主導で行われた構造改革だった。規制改革と地方分権を推進する構造改革の一環として、官邸主導で教育委員会を必置制から選択制にすべきとする動きが強まった。

 これを引き継いだ形で、第1次安倍内閣は、教育再生会議を設置し、官邸主導で教育委員会の抜本見直しを提言した。が、このときは安倍内閣の早期退陣で実行に移されなかった。

 続いて、政治主導を強調して政権交代に成功した民主党政権は、教育委員会を教育監査委員会に改組し、教育行政の責任を首長に移管する工程表を示したが、民主党政権の崩壊で単なるスケジュールに終わった。

 その後、復権を果たした自民党政権は、第2次安倍内閣の下で、教育再生実行会議を設け、再び官邸主導で教育委員会の抜本改革を打ち出した。実行会議の提言を受け、中央教育審議会は、教育委員会改革の制度設計を審議したが、教育行政権を首長に委ねようとする政治的な流れの中で、改革案をまとめるのに苦心したようだ。そのことは、教育行政権を首長に移す案をメインとしながらも、教育委員会に残す案を付記した点に現れている。

 中教審答申で決まりと思ったら、改正法案の作成段階になって、公明党が思わぬ政治主導を発揮した。公明党は、教育行政権を首長に委ねては政治的中立性が危うくなるという主張を崩さず、結局、自民党と公明党の協議で教育委員会を執行機関として残す改革案となった。

 様々な政治力学のバランスで決まった教育委員会の改革である。継ぎはぎのパッチワークと評する意見もあるが、多くの知恵を集めた改革と言うべきではないか。ただし、その成否は、新たに設けられる総合教育会議の運営如何にかかっているように思う。

〜図書教材新報vol.109(平成26年5月発行)巻頭言より〜