vol.115

思い出が残る学校―英米型
一般社団法人日本図書教材協会監事
比治山大学・比治山大学短期大学部学長
二宮皓

 学校を卒業後、懐かしく思い出し、友人や恩師に思いをはせる。同期会が楽しみである。ホームカミングデイが待ち遠しい。出身学校を誇らしく語り合う。先生に叱られたことさえも懐かしい。「学校時代」が人生の一頁を刻む。こうした思い出に残る学校はいつ、どこで誕生したのであろうか。シュメールの「粘土板の家」、スパルタの共同教育所、中世の「修道院学校」、近世の「おかみさん学校」や「都市学校」。そこには思い出が残る学校文化はなかった。今でも伝統的なドイツ、スイスなど大陸の学校にはない。

 答えは簡単である。学校で「勉強(暗記と鞭)」以外の楽しみな活動がある学校が思い出の残る学校文化を醸成した。まさにイギリスの寄宿制の学校やアメリカの学校である。英米型の学校ではまずクラブ活動が始まる。かつて寄宿制の学校では、教室の授業と放課後の寮生活における活動が未分化的状況にあり、放課後も学園で過ごす生徒にどんな楽しみを与えるべきかは重大な課題であった。同好会的活動もあるが、スポーツ活動が学校のクラブ活動として導入される。イートン校の名物校長アーノルド氏は、「ジェントルマン教育」を構想し、優れた知性(判断力)は健康な身体に宿るとして、知・徳・体(スポーツ)の教育観を確立し、スポーツを学校教育に導入した。ラグビー校ではラグビーが偶然に誕生する。この伝統はアメリカの学校にも引き継がれ、アメリカン・フットボールなどの部活がスタートし、アメリカ教育の特色にさえなっている。民主主義社会の市民を育成するために考案された学級会活動・生徒会活動や学校ジャーナリズムなども誕生し、さらにキャリア体験学習など興味深い教育的活動が盛んになる。生徒指導も始まり、自分を心配してくれる先生が誕生する。恩師と友人がいる学校。楽しい思い出が刻まれる学校の誕生である。

〜図書教材新報vol.115(平成26年11月発行)巻頭言より〜