vol.116

小中一貫教育の制度化
一般社団法人日本図書教材協会会長
菱村幸彦

 小中一貫教育の制度化が喫緊の課題となっている。文部科学省は、法改正の作業を進めており、次期国会では小中一貫教育の制度化のための法改正が行われる見通しだ。

 小中一貫教育の制度化といっても、全国一律に小中一貫学校をつくろうというものではない。現在の小・中学校は残したまま、小中一貫学校を設置したい自治体はどうぞ、という選択的導入を認める制度である。設置の意欲のあるところ、可能なところから試行して、結果がよければ、徐々に広げて行けばよいというやり方は、成熟社会にふさわしい現実的で効果的な施策である。

 16年前に導入した中高一貫教育の制度化は、通常、中学校と高等学校の設置者が異なるので、設置の意欲があっても隘路が多かった。しかし、小中一貫教育は、小・中学校とも設置者が同じなので問題は少ない。事実、まだ制度化されていないのに、何らかの形で小中一貫教育を行っている学校は3千校を超える。

 小中一貫教育のメリットは、(1) 9年間一貫した教育課程が編成・実施できること、(2) 校種の枠を超えた指導体制や指導方法が可能となること、(3) 連続性のある学校生活で児童生徒に対し継続的な指導が可能となること、(4) 異年齢集団の活動の中で豊かな人間性の育成ができること、(5) 学校の管理運営が統一的・効率的にできること――などが挙げられる。

 6・3制が導入されたころに比べ、最近の子供の身体的成長や性的成熟が約2年早期化していると指摘されている。また、最近の脳科学の知見によれば、10歳ごろから、前頭葉の神経ネットワークが再結合し、知的機能が発達すると言われる。となると、小学校5年生と6年生の扱いを考え直してみる必要がある。小中一貫教育を導入すれば、学校の区切りを5―4としたり、4―3―2としたりすることが可能となる。小中一貫教育はソフトな学制改革といえるだろう。

〜図書教材新報vol.116(平成26年12月発行)巻頭言より〜