vol.119

「教材学教科書」の作成に着手
日本教材学会会長
一般社団法人日本図書教材協会副会長
川野辺敏

 今年は戦後70周年を迎え、「過去に目を閉ざす者は現在に対しても盲目になる」(ワイツゼッカー)という言葉に影響されたわけでもないが、教材学会もすでに四半世紀を過ぎたこともあって、学会会則等を含めた改訂作業を進めている。その過程で、教員養成大学での教材学に関する教科書の作成が必要ではないかとの声が上がってきた。学会では20周年記念で『教材学―現状と展望』(上下巻)を、さらに25周年記念で『教材事典』を作成し、普及に努めてきたが、教材に対する基礎的理解が、教員養成の段階で欠落しているのではないかという懸念である。

 ご承知の通り、当社団の活動として、早くから『授業と教材』という冊子を作成し、全国教育研究所連盟の参加機関を通じて現職教員研修用に提供してきたが、毎年多くの需要が現在も続いており、教材の理解・活用に貢献してきた実績がある。逆に言えば、教員養成大学の養成科目の中に「教材学」という科目がなく、教育課程や各教科の指導法等の一部として教材が部分的に取り上げられているに過ぎないため、教材研究が現職教員にも必要・不可欠だという要請が強いということでもある。

 そこで、教育職員免許法に「教育課程及び指導法に関する科目」を履修することが義務付けられていることに着目し、大学での単独の授業科目を想定して作成しようということにしたのである。教科書であるためには一定の制限があるが(90分授業15回で2単位分=15章構成で、A5版150〜200頁程度など)、これらのことを含め、現在、教科書作成委員会を設け、27年度末には出版できるよう準備を進めているところである。なお、当然のことながら、本教科書により、現職教員の皆さんの教材への関心・理解の一層の向上及び効果的活用に役立てることも期待している。

〜図書教材新報vol.119(平成27年3月発行)巻頭言より〜