vol.121

図書教材の重要性を明記
一般社団法人日本図書教材協会会長
菱村幸彦

 今春、過激派組織ISによる日本人ジャーナリスト殺害画像を小学校の教諭がモザイクもかけないまま授業で使っていたことがメディアで報道され、教育的配慮を欠いた不適切な教材使用というので、社会的に問題となった。

 これを受けて、文部科学省は、3月4日に40年ぶりに補助教材の適切な取扱いを促す通知を出した。40年ぶりというのは、昭和49年に広島県下で使用された『夏休み帳』に「じえいたいのばか」という自衛隊を誹謗する小学生の詩が掲載されたのが問題となったとき、文科省は補助教材の選択について「特定の政党や宗派に偏った思想、題材によっているなど不公正な立場のものでないよう十分留意すること」を求める通知を出しているからである。

 今回の通知も、補助教材の使用に当たって「特定の見方や考え方に偏った取扱いにならないこと等に留意すること」を促している。が、昭和49年の通知と一つ違う点がある。それは今回の通知では「各学校においては、指導の効果を高めるため、地域や学校及び児童生徒の実態等に応じ、校長の責任の下、教育的見地からみて有益適切な補助教材を有効に活用することが重要である」と補助教材の活用の意義を明記していることである。

 学校教育法は、授業で教科書を使用することを義務付けるとともに、教科書以外で「有益適切」な教材を使用することができると定めている(34条2項)。今回の通知は、この規定の趣旨をさらに進めて、補助教材を「活用することが重要である」と明記している点に注目したい。

 補助教材を使用する効果として、@児童生徒の興味や関心を喚起できること、A多様な学習活動が展開できること、B学習の成果を適切に評価できること等のメリットが挙げられている。補助教材の中でも図書教材は特に重要な役割を果たしている。教育実践の場の期待に応えるために、更なる質の向上に努めたい。

〜図書教材新報vol.121(平成27年5月発行)巻頭言より〜