vol.125

「特別の教科 道徳」の教材開発に望む
一般社団法人日本図書教材協会理事
星槎大学大学院教授
新井 郁男

 道徳が「特別の教科」となることになり、その教科書検定のありかたについて、平成27年7月23日に、教科用図書検定調査審議会から「報告」(以下、「報告」)が出された。

 「特別の教科 道徳」については、平成25年2月の教育再生実行会議第一次提言や同年12月の道徳教育の充実に関する懇談会報告を踏まえ、平成26年10月に中央教育審議会において答申がまとめられた。

 この答申では、「道徳教育の充実を図るためには、充実した教材が不可欠であり、『特別の教科 道徳』(仮称)の特性を踏まえ、教材として具備すべき要件に留意しつつ、民間発行者の創意工夫を生かすとともに、バランスのとれた多様な教科書を認めるという基本的な観点に立ち、中心となる教材として、検定教科書を導入することが適当である」と提言された。

 こうして道徳の時間は「特別の教科 道徳」として位置付けられることになり、小学校及び特別支援学校の小学部では平成30年度から、中学校、中等教育学校の前期課程及び特別支援学校の中学部では平成31年度から、「特別の教科 道徳」の検定教科書を用いた授業が順次実施されることになった。

 「報告」は、検定の基準として、「特に、多様な見方や考え方のできる事柄を取り上げる場合には、その取り上げ方について特定の見方や考え方に偏った取扱いはされておらず公正であるとともに、児童生徒の心身の発達段階に即し、多面的・多角的に考えられるよう適切な配慮がされていることを求める規定を置くことが適当である」としている。

 以上は、主たる教材としての教科書について配慮すべき観点であるが、補充教材の場合には、より一層多面的・多角的であることが望まれる。特に、グローバル化社会の進展に照らして、多文化・異文化理解の視点から教材開発が行われることを期待する。

〜図書教材新報vol.125(平成27年9月発行)巻頭言より〜