vol.136

教員の世代交代へどう対応するのか
一般社団法人全国図書教材協議会会長
佐野 金吾

 いわゆる団塊の世代の教員の大量退職による後補充の多くは学部・大学院の新規卒業生によって行われている。

 学校教育の使命は児童生徒の学力と成長の保障にあるが、中でも重要な役割を果たしているのは教科等の授業である。授業への取組みとして重要なことは、児童生徒一人一人の個性・特性の理解とともに学習状況の把握であり、教科等の教材に関する理解と指導技術である。

 しかし、学部・大学院等で身に付けた生徒理解、教科教育に関する理論やスキルは、複雑多岐にわたる教育課題を抱えている学校現場ではどこまで通用するか心許ない。

 ここ数年の間に個別の指導に特段の配慮を要する児童生徒が増えており、地域によっては日本語を不自由とする児童生徒数は急増している。生徒指導はますます困難な状況を呈しており、保護者対応は依然として教員の業務に重くのし掛かっている。また、中学校の若手教員にとって重い業務となっているのは部活動指導である。部活動に対する保護者や生徒からの強い要望から学校としては対応しなければならないが、その指導には若手教員が多くかかわり、休日返上で取組んでいる。

 若手教員の当面する課題は生徒理解と授業への取組みである。生徒理解に関しては学校管理職の指導のもと同じ職場における組織的な指導によることになるが十分な時間はかけられない。教科指導も校内の授業研究等に期待することが大きいが、学習指導要領や教科書の読み込みと授業を組み立てる教材研究は若手教員が時間をかけて自ら取組まなければならない。しかし、若手教員の業務環境には時間的ゆとりはない。国は教員が業務に専念できるよう「チーム学校」を提唱しているが、若手教員が急速に増えつつある現状にどう対処し、若手教員の成長のためにどうかかわるのか。学校教育に空白の時間を作ってはならない。急速に進む世代交代を無難に進めるには課題はあまりにも大きい。

〜図書教材新報vol.136(平成28年8月発行)巻頭言より〜