vol.138

生涯学習の理念の明記を! ―学習指導要領に―
一般社団法人日本図書教材協会理事
星槎大学特任教授
新井 郁男

 平成28年8月1日に中央教育審議会より「次期学習指導要領等に向けたこれまでの審議のまとめ」が発表された。事務局の努力と審議会での熱心な検討の跡がうかがえる。教育内容のみでなく、それと関連して教育方法、教師教育の課題についても提起した総合的なまとめとして注目したいが、なお、検討をしてほしい若干の視点がある。

 今回の審議において注目されている重要な視点の一つは「アクティブ・ラーニング」であり、これについては教育界においても大きな話題となっているところであるが、それについて「主体的・対話的で深い学び」という視点が示された。さらに検討してほしいのはこの視点である。「対話」というのは、「二人の人が言葉を交わすこと」であると思うが、アクティブ・ラーニングでは、「対話的な学び」だけでなく、「協働的な学び」も重要であろう。この視点は他の箇所で提起されていると思うが、アクティブ・ラーニングの視点としても明示してほしいところである。

 検討を期待する第二の視点は、「カリキュラム」概念の明示である。カリキュラム・マネジメントの重要性が強調されているが、審議にかかわった者の意見を聞いても、解釈は必ずしも一様ではない。ぜひ学校現場にも理解されやすいように解説を加えてほしい。

 検討してほしい第三点は、基本的な方向として、「生涯学習の理念」について明記することである。生涯学習の理念は、教育基本法にも示されたことであるし、文部科学省はじめ地方の教育行政においても、学校教育も含めた教育全体を貫く視点であろう。まさに「生きる力」の根幹である。

〜図書教材新報vol.138(平成28年10月発行)巻頭言より〜