vol.146

新学習指導要領説明会に出席して(雑感@)
一般社団法人日本図書教材協会監事
二宮 皓

  平成29年5月19日、教科書研究センター等主催の教科書セミナー「小・中学校新学習指導要領等説明会(全体会)」での文部科学省の方々からの丁寧な説明を拝聴しながら、少し感じるところがあったので、報告(私見)してみたい。

 説明資料の中で、お茶の水大学の研究成果等を紹介しながら、SES(家庭の社会経済的背景)と国語Aの正答率の散布図から教育効果の高さ(学力)と家庭のSESが相関を示している。新学習指導要領はまさにこうした格差を克服するものであるとする期待が紹介された。

 高度経済成長がとまり、情報化やグローバル化が進行し、富の寡占化・集中化が進む中で、中産階層の衰退とともに大きくなった機会と富の格差が、学校教育を通じて拡大・再生産されているという論説を横目で見ながら考えてみると、皮肉的ではあるが、日本の学校も世界の学校と同様に、新たな役割として「学校教育を通じた社会における平等の実現」という理念・目標を追うこととなる。

 しかし、新学習指導要領は、学校教育の中での平等をどんなに高めても社会に出てからの平等を保障することはできない、という1970・80年代の言説(研究成果)を覆すことができるのだろうか。この度の新学習指導要領には、教育内容のみならず教育方法(主体的で対話的な学び、深い学びを追求する授業)まで盛り込まれているので、「日本の学校(教員)であればひょっとすれば」と期待してみたい。日本の先生方はかつてこうした学びのベテランであったが、今は新任教員が半数を占める学校まであり、若い世代の先生に改めて「主体的で対話的かつ深い学び」授業づくりの力をつけてもらいたい、という。SESによる格差の拡大・再生産は、日本の新学習指導要領で期待通り、克服してもらいたい。世界のモデルになりたいものである。

〜図書教材新報vol.146(平成29年6月発行)巻頭言より〜