vol.147

新指導要領への移行措置
一般社団法人日本図書教材協会会長
菱村 幸彦

   新しい学習指導要領の移行措置が告示された。移行措置は、現行の指導要領から新しい指導要領への切り換えを円滑に行うための経過的措置である。小学校の移行措置は、平成30年度と31年度の2年間、中学校は平成30年度から32年度の3年間に行われる。

 新指導要領が決まれば、できるだけ早くそれに切り換えることが望ましい。しかし、新指導要領に対応した教科書を整備するには、編集・検定・採択に各1年、計3か年を要するため、従来から指導要領の改訂のたびに、新教科書が整うまでの間を移行措置期間としている。

 今回の移行措置の基本方針は、できる限り新指導要領の趣旨を踏まえた取り組みを促すことにある。ただ、教科ごとの対応は、改訂内容と教科書のウエイトにより分かれる。

 まず、教科書がない総合学習や特別活動は、ただちに新指導要領に移行できる。また、新指導要領の総則で定めている「主体的・対話的・深い学び」や「カリキュラム・マネジメント」もすぐに実施すべきである。

 次に、教科書のウエイトが小さい「生活」「音楽」「図工」「家庭」は、そのまま新指導要領によることができる。「国語」と「社会」は、教科書のウエイトは大きいが、指導内容に大きな変更がないので、新指導要領によるか、現行指導要領によるかは、学校の判断に委ねている。ただし、現行指導要領による場合は、新指導要領に移行したとき、指導内容に欠落が生じないよう、例えば、国語では新しい学年別漢字配当表により指導すること、社会では「国土の位置、領土の範囲」を追加して指導することなどを移行措置で求めている。

 この点、「算数」と「理科」は、新教科書なしでは新指導要領によることは難しい。で、現行指導要領によることになるが、新指導要領で指導内容の追加や移動のある事項については移行期間中に指導する必要がある。また、英語は、小学校3年と4年は年間15時間、5年と6年は年間50時間を設定し、新指導要領の内容の一部を必ず取り扱うこととしている。

 算数、理科、英語の移行措置には補助教材が欠かせない。このため、文部科学省は、移行措置用の補充教材の作成・配付を検討している。

〜図書教材新報vol.147(平成29年7月発行)巻頭言より〜