vol.166

読書の習得・活用・探究
一般社団法人全国図書教材協議会会長
細谷 美明

文部科学省の調査によれば、小学生から高校生までの読書時間について年齢層が高くなるほど読書時間が減少し、ここ数年間では全く読書しない子どもの割合が高くなる傾向だという。

一方、厚生労働省の調査では「インターネット依存」の中高生が約93万人いるという報告もある。このことについて専門家は、ゲーム依存の人間とギャンブル依存等の人間の症状が、欲求や行動を自らの意思でコントロールできなくなるなどの点において酷似していると指摘する。成長段階にある小・中学生や高校生がゲーム依存になった場合考えられるのが、身体機能の低下、睡眠障害、さらには感情のコントロールができない状態やうつ状態などである。その結果、学業不振や不登校、あるいは家族関係の悪化といった事態に陥る。ゲームに依存することで理性を司る前頭前野が活動しなくなるからである。逆に、前頭前野の活動を活性化させれば感情のコントロールが良好となり諸課題が解決の方向に向く。そのための有効な教育手段が読書活動である。

文科省は現在、不読率の改善に向けた取り組みを展開中である。特に注目されるのが、本を急激に読まなくなる高校生を対象とした地域や学校にある図書館・図書室における幼児・児童向けの読み聞かせ会やブックトーク、さらにはビブリオバトル(書評合戦)やアニマシオン等の活動の推奨である。

新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」の充実を目指し「習得・活用・探究」のバランスを重視した授業設計を求めている。ならば、教育関係者は総力を挙げて従来の読書に、習得だけでない活用・探究の場面を作り出す「読書の設計図づくり」を推進すべきではないだろうか。各方面の活動に期待したい。

〜図書教材新報vol.166(平成31年2月発行)巻頭言より〜