vol.168

教材はカリキュラム・マネジメントの一視点
一般社団法人日本図書教材協会理事
星槎大学特任教授
新井 郁男

新学習指導要領(以下、要領)では、カリキュラム・マネジメント(以下、CM)が重要なポイントとなっている。主体的・対話的で深い学びが達成されるべくCMしなければならないということである。

CMについては多様な捉え方があるが、要領では、各学校において、児童・生徒や学校、地域の実態を適切に把握し、教育の目的や目標の実現に必要な教育の内容等を教科等横断的な視点で組み立てていくこと、教育課程の実施状況を評価してその改善を図っていくこと、教育課程の実施に必要な人的又は物的な体制を確保するとともにその改善を図っていくことなどを通して、教育課程に基づき組織的かつ計画的に各学校の教育活動の質の向上を図っていくこと、と規定している。こういう意味でのCMを確立すべきことは、平成29年度の『文部科学白書』においても強調されている。(P.146)

このCMの捉え方は、教育学の世界で注目されているホリスティック・カリキュラムである。これはカナダのオンタリオ教育研究所(The Ontario Institute for Studies in Education)のジョン・ミラー(John P. Miller)が1988年に出版した『The Holistic Curriculum』が多くの国で注目され、わが国でも『ホリスティック教育―いのちのつながりを求めて』として訳書が出て(吉田敦彦他訳)論議されている。

ここでは詳述できないが、端的にいうならば、教育目的・目標の達成にかかわる多様な要因を全体的・総合的に捉えなくてはならないというマネジメント観である。要領のCM定義では明示はされていないが、当然、教材も重要な要因として捉えなければならない。検定を受けた教科書、これを部分的に代替できるデジタル教科書、その他のさまざまな教材をどのように関連づけていくかということはCMの中核的な部分であろう。

この面からの実証的な研究がいっそう期待されるところである。

〜図書教材新報vol.168(平成31年4月発行)巻頭言より〜