vol.174

災害・防災の追体験教材の開発を
一般社団法人日本図書教材協会理事
星槎大学特任教授
新井 郁男

新学習指導要領では、小学校についても中学校についても、総則第2「教育課程の編成」に関して、「教科等横断的な視点に立った資質・能力の育成」が提起されている。

「図書教材新報」Vol.168(2019・4・25)においては教材が新学習指導要領で重要とされているカリキュラム・マネジメントの一視点であることを述べたが、特に重視すべきは教科等横断した教材を開発することではないかと思われる。

前学習指導要領の土台となった平成20年に出された中央教育審議会の答申「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」においては、「社会の変化への対応の観点から教科等を横断して改善すべき事項として、情報教育、環境教育、ものづくり、キャリア教育、食育、安全教育、心身の成長発達についての正しい理解」が挙げられていた。これは新学習指導要領においても重要な点である。

しかし、「社会の変化への対応」だけでなく、「自然の変化」への対応も視野にいれる必要があるのではないだろうか。「自然の変化」でも特に重要だと思われるのは予想の出来ないような自然の変化、災害・防災についての追体験であろう。これまでの様々な自然災害で大変な対応を迫られるなかでそれへの対応について貴重な体験を蓄積してきている。そうした体験などを土台に災害・防災の教科等横断的な教材を作成することが期待される。

筆者が会長をしている「教育と時間研究会」では、平成30年11月21日に宮城県石巻市立万石浦中学校で、同中学校の教職員と石巻市教育委員会安全推進課の皆様から災害の折の状況や対応などについて貴重な話を聞き話し合いを行った。そういう話を教材化することも重要だと痛切に感じたことであった。

(万石浦中学校での話とそれに関する会員の論考も研究会のジャーナル『教育と時間』第23号[2019年8月]に掲載している。)

〜図書教材新報vol.174(令和元年10月発行)巻頭言より〜