vol.175

『深い学び』を促す授業と教材
一般社団法人全国図書教材協議会相談役
日本教材学会会長
佐野 金吾

故清水厚實氏は、我が国の学校教育における図書教材の果たしている役割から「教材学」の確立が重要であると常々お話しされていました。その思いが込められて発足した日本教材学会ですが、清水さんは、その創設に深く関わり、学会の会員として研究者ばかりでなく教材を授業で活用する教師、さらには教材を作成する出版社、教材を学校に届ける販売店の方々の参加を広く呼びかけ、子どもたちの学習をより豊かにする学習環境を整える役割が日本教材学会に課せられていると強く訴えていました。現在では会員は500名を超え、日本学術会議にも登録されています。

今年の研究発表大会は31回目を迎え、東京学芸大学を会場として行われましたが、研究発表大会では日図協や全図協の会員の皆さんが運営スタッフや研究発表の場で盛んに活躍されていました。今年の研究発表大会におけるシンポジウムでは「深い学びにおける教材」をテーマとして行われましたが、授業の様子をビデオで放映し、映像を活用しながら授業と教材についての協議が行われました。清水さんは、授業実践と研究協議の一体化を強く望んでいましたが、その願いが叶ったシンポジウムでした。ビデオでは国語、数学、図画工作の3教科を扱っていましたが、児童生徒一人一人が目標の実現に向けて「主体的・対話的で深い学び」に取組んでいる様子を伺うことができました。「『深い学び』を促す教材とは」、児童生徒一人一人が「何のために学ぶのか」、「どのように学んだらいいのか」を意識し、話合い学習の意義を理解させる教材であると捉えることができました。新学習指導要領の趣旨に添った教材の在り方が捉えられ、清水さんの思いを叶える研究発表大会となりました。

〜図書教材新報vol.175(令和元年11月発行)巻頭言より〜