vol.176

「グローバル・ヴァーチュー(徳)」を語るべき時代の到来
一般社団法人日本図書教材協会監事
広島大学名誉教授
二宮 皓

2019年9月にヘルシンキで開催されたヨーロッパの国際教育関係者の大会での基調講演の中心的話題が「グローバル・ヴァーチュー(徳)」へのコミットメントであった。ネット上に議論の場を設けるので世界の人(学生)の参加をお願いするという主旨であったが、私としてもグローバル化が本格的に進行し、インダストリー4・0時代が到来している中で、高校(SGH)や大学におけるグローバル人材の育成との関係で、「道徳」「徳」といった価値(心の問題)はどのようになるのか、に少なからず興味を抱いていた。

ところが英国政府はすでに2014年11月に、「学校におけるグローバル・ヴァーチュー」を促進する政策を出していた。その意味ではそんなに目新しいことではないのかもしれない。英国政府は、@民主主義、A法の支配、B個人の自由及びC異なる信教や信仰をもつ人々への相互尊敬と寛容、の4つの徳をグローバル・ヴァーチューと定義づけている。周知のとおり英国ではこれまで「宗教教育」のみを全国共通カリキュラムとしてきた伝統(1944年以降)をもつ国であることを思えば、英国政府が世界で活躍する生徒たちに向かって「グローバル・ヴァーチュー」を身につけることを期待したのも「十分に納得できる」し、「さすが英国」と声援をおくりたい。

バチカンでは、2019年10月31日にローマ教皇が教育こそが平和への道であるとし、次の世代に「具体の価値と徳」を伝えるべきだと演説したという。教皇はこの11月には仏教国タイを訪問し、さらに長崎・広島にも訪問する予定となっている。「キリスト教的徳」を代表する方が、次世代に伝えるべき「価値や徳」をどのように諭すのか、しっかりと聞きたい。「すべての人の命」がメッセージだそうだ。(11月23日脱稿)

〜図書教材新報vol.176(令和元年12月発行)巻頭言より〜