vol.178

社会に開かれた図書教材を目指して
一般社団法人全国図書教材協議会会長
細谷 美明

昨年12月、2018年に行われた経済協力開発機構(OECD)による国際学習到達度調査(PISA)の結果が公表された。日本は、全参加国・地域別平均得点で、読解力が15位、数学的応用力が6位、科学的応用力が5位と、前回(2015年)と比べいずれも順位を落とすこととなり、一部の人間からは「PISAショックの再来か」との声もあがっている。

「PISAショック」とは、2003年に行われた同調査において、日本が前回調査よりも大幅に順位を下げ教育関係者はじめ国内全体に衝撃が走った状況のことである。その要因と考えられたのが「ゆとり教育」と揶揄された当時の学習指導要領であった。その後文部科学省は、PISA型学力(キー・コンピテンシー)を目指す学習指導要領を作成し現在に至っている。しかし、今回のPISAの結果により再び大きな動揺が広がっている。

ただ、数学的応用力と科学的応用力に関して言えば、OECD加盟国(37か国)中ではそれぞれ1位・2位と相変わらず世界トップレベルにある。問題は読解力である。特に憂慮されるのは、自分の考えを根拠を示して説明する力である。言いかえれば、本稿でも前回私が指摘した論理的・批判的思考力の育成である。それは我が国の学校教育の長年の課題でもあった。

そこで、学校、教育委員会、企業に提案をしたい。一点目は読書活動とともに新聞、雑誌、インターネットの記事をグラフ・図表など補助資料と呼ばれる統計等とあわせて読む習慣を身に付ける指導の充実、二点目は様々な資料を駆使し多くの人の前で説明や議論する機会の提供、三点目はそれを論文にまとめ指導者や第三者が評価・審査するシステムの構築である。そして、これらの提案を具現化するために欠かせないのが図書教材である。もはや図書教材は学校内だけで使用するものではない。図書教材もまた社会に開かれたものになるべきであろう。

〜図書教材新報vol.178(令和2年2月発行)巻頭言より〜