vol.182

小人閑居為雑感―コロナウイルス感染拡大と学校
一般社団法人日本図書教材協会監事
広島大学名誉教授
二宮 皓

コロナ・パンデミックは、グローバル化4・0(情報)あるいは「超グローバル化」といわれる時代の中にあって、国境を越えて全人類に拡大する。学校は、本来国民国家が基本的に営む行政行為であり、大学を除けばグローバル化とは少し縁遠いシステムであるが、コロナ・パンデミックはその学校にも世界的な影響を与えた。

第一に、小学校などの休校が世界的に相次いだことである。Schooling(通学)が機能不全に陥った。ユネスコのインパクト調査によれば、4月現在、191か国の約15億(91%)の生徒が学校の休校などによる影響を受けているという。

第二に、通学授業に代替する遠隔授業(日本の小学校の5%)についても、通信回線とデバイスの有無による格差が生じることである。「通学(就学)」で克服しようとした「家庭の学習環境」による格差と貧困の再生産という問題をより深刻化することになる。

第三に、逆説的になるが、コロナ・パンデミックは、学校教育4・0という新たな時代への契機になる。社会5・0、Industry4・0、さらにはグローバル化4・0という時代の中で、インターネットを通じて「いつでも・どこでも」「誰でも」学べるし、試験も受けることができる(CBT)。日本でも「インターネットによる授業」でもって「対面授業」に代替できると認められ、大学は正規の授業のオンライン配信を開始している。一度門戸を開くと、通学型の大学でのオンライン授業の正規化が止められなくなる。ハイブリッド型になるかもしれない。ひいては「AI」活用授業が開発され、「全国大学卒業コンピテンシー(アウトカム)試験」(CBT・IBT)新設が入学時点での偏差値偏重を大きく変えてくれる。入試が問題ではなく、入学後にどこまで伸びたかが問題となる。それこそが大学の真髄では。

〜図書教材新報vol.182(令和2年6月発行)巻頭言より〜