vol.188

「新型教材」のヒントを探る
一般社団法人日本図書教材協会前副会長
川野辺 敏

「図書教材新報」の発行回数も月刊となって187回に及んでおり、この間、教材面でも多くの改訂が行われ、学校教育に貴重な貢献をしてきたことは喜ばしい限りである。ところが、新型コロナウイルスの突然の出現により、社会生活が急変し、学校教育も変更を迫られていることは、ご承知のとおりである。伝統的教材も「新型教材」?とでもいうべき時代が来るのかもしれない。「新しい生活様式」「ウェルヴィーング社会の到来」などという識者もいるが、その内実は、明らかになっていないが、学校教育にも社会変化が影響を与えることは、避けられないところであろう。

そんなとき、本新報を手に取ってみると、『戦争体験の教材化を』(185号)などが目にとまった。私自身も『「長くて短い?」70年』(124号)の中で、新しい事態に遭遇した場合には、過去の実態や広い視野で教材を見つめ直す必要性がある、などと書いた記憶がある。

個人的な古い話だが、私は1956年のソ連の教育改革「学校と生活との結合の強化」を思い出していた。この改革では「労働教育」を強調しすぎたため、彼らの本来の目標である「知徳体・労働・美」の調和的発達を変質させ、失敗に終わったが、私にとっては特に、「労働と美の教育」を教材を考えるヒントにした経験を持つことができた。

これからの学校教育を考えると、「学校と家庭・地域との連携」、「人ともの」、「ハードとソフト」の調和がより強く意識されるような気がする。

幸い協会も会員の皆さんも、新型コロナウイルスの到来により、新たな発想の時間がとれるであろう。この際、書き重ねられた新報の「巻頭の文章」などを、時代の変化や改訂ごとに精選し、これから求められるであろう「新型教材」のヒントにされたらと、思うのである。

〜図書教材新報vol.188(令和2年12月発行)巻頭言より〜