vol.189

令和の日本型学校教育
一般社団法人日本図書教材協会会長
菱村 幸彦

近く中央教育審議会から令和時代の教育の在り方を示す答申が出される予定である(注)。答申案を見ると、全体を通ずる重要キーワードとして「日本型学校教育」が掲げられている。日本型学校教育とは、「学校が学習指導のみならず、生徒指導等の面でも主要な役割を担い、様々な場面を通じて、児童生徒の状況を総合的に把握して教師が指導を行うことで、子供たちの知・徳・体を一体で育む教育」をいう。この日本型学校教育は、諸外国から高く評価されている。

例えば、1987年にアメリカ連邦教育省が出した「日米教育協力研究報告書」では、「日本の教育が世界の第一級の水準にあることはもはやかくれもない」と述べた上で、連邦政府のベネット教育長官が、日本の教育について、@読み書き計算のほか、歴史、理科、図工、音楽、体育、家庭など幅広いカリキュラムを編成している、A道徳教育を実施している、B社会がよしとする種々の習慣を涵養している、C校内の規律が保たれている―― などを挙げて、日本の教育に学ぶべき点が多いと記している。

最近の例では、2018年に出たOECDの報告書「日本の教育政策」は、PISAで日本の生徒がOECD各国のトップクラスに位置するなど、日本の教育制度が高い成果を出していることを指摘した上で、「日本の教育制度の成功を語る上で重要な特徴は、子どもたちに全人的な教育(holistic education)を効果的に行っていることである」と述べている。

答申案は、令和の学校教育は、明治から続く日本型学校教育のよさを受け継ぎ、さらに発展させることだと説く。いま人工知能、ビッグデータ、IoT、ロボティクス、Societ5.0 など「流行」の言葉が飛び交っている。確かにこれからはICT(情報通信技術)が学びのツールとして一層重要になることは間違いないが、学校教育の本質は、「流行」ではなく、「不易」にあることを改めて確認したい。

注:本年1月中に正式な答申が出される予定。

〜図書教材新報vol.189(令和3年1月発行)巻頭言より〜