vol.190

35人学級実現とデジタル元年で考えること
一般社団法人全国図書教材協議会会長
細谷 美明

令和3年度より5か年計画で小学校において35人学級となることが発表された。残念ながら中学校の35人学級実現はお預けとなったがそう遠くない話であろう。学校はこれまで以上に子供一人一人に応じた「主体的・対話的で深い学び」の授業改善の実現を図らなければならない。そのためにも、学校の先生方が使用する教材には質の向上が求められる。

一方、昨年10月に文部科学省からデジタル教科書の規制を緩和する旨の発表があった。教科の授業時数の半分以下といったこれまでの使用制限を撤廃するという。この背景には、コロナ禍の影響により政府がGIGAスクール構想事業の実施を早めたことと菅新政権の目玉政策の一つであるデジタル化推進が強く影響している。これにより、令和3年度以降、学校にもデジタル化の波が押し寄せる。この「デジタル元年」といわれる令和3年度を我が業界はどう迎えればよいのであろうか。

結論から言えば「紙とデジタルの使い分け」である。脳科学においては、文字の内容を理解しそこから物事を考えていくといった記憶や思考の場面において紙媒体は効果があることがわかっている。ある講演をパソコンとペン・ノートでそれぞれ学生に記録させたところ、ペン・ノートを使った学生の方が講義の趣旨をよく理解していたという。デジタル教材の場合、写真・動画といった画像が興味・関心の喚起や大まかな情報の即時把握という点で効果があるという。採点や成績付けといった評価面においても利便性が高い。無論、紙、デジタルそれぞれのデメリットもある。特にデジタル機器の使用に関しては、前回この稿で指摘した「ゲーム(スマホ)依存症」や長時間の視聴による視力低下といった成長期の子供たちにとって深刻な問題も懸念される。今我々が認識すべきことは紙とデジタルそれぞれの媒体のよさを生かした教材の見直しと開発ではないだろうか。

〜図書教材新報vol.190(令和3年2月発行)巻頭言より〜