vol.191

宗教に関する一般的な教養と
一般社団法人日本図書教材協会副会長
星槎大学特任教授
新井 郁男

平成18年に教育基本法が改正された。旧法では、第9条で宗教教育について、「宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、教育上これを尊重しなければならない。2 国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。」と規定されていた。改正法では法律の全部が改正され、宗教教育については、第15条で、「宗教に関する寛容の態度、宗教に関する一般的な教養及び宗教の社会生活における地位は、教育上尊重されなければならない。2 国及び地方公共団体が設置する学校は、特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。」と規定された。注目されるのは、「宗教に関する一般的な教養」が付加されたことである。しかし、憲法第20条「信教の自由、政教分離」第3項で「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」と規定されていることもあり、これまでのところ宗教教育について学校は無関心ないし忌避的であった。

学習指導要領では、中学校の社会科の歴史的分野について、「仏教、キリスト教、イスラム教などを取り上げ、古代の文明とともに大きく捉えさせるようにすること。」と提起されており、この視点は教科書に反映されている。

しかし、これだけで「宗教に関する一般的な教養」として十分であろうか。といっても答えは単純ではない。

しかし、教育基本法で提起されているからには、教育界として検討が重要であろう。宗教は歴史的分野だけではなく、地理的分野とも関係が深い。すなわち、宗教は地政学の課題でもある。また、地動説とか進化論などのことを考えると理科とも関係が深い。ぜひこのような視点からの教材開発も考えたいものである。

〜図書教材新報vol.191(令和3年3月発行)巻頭言より〜