vol.94

子どもたちの学習離れと図書教材
一般社団法人全国図書教材協議会会長
佐野 金吾

 学校教育法の一部改正によって学力の要素が示され、学習指導要領の総則では学力観や学習指導観を明らかにしている。

 教師による学力についての論議はなかなかまとまらないが、公の学力観、学習指導観が示されたこともあって、最近では教師の話題は学習指導要領に示された学力をどのように育むか、学習指導の内容や方法に関することに集約されているようだ。

 基礎的・基本的な知識・技能の習得、活用によって思考力・判断力・表現力を育む学習指導に関しては、これまでの授業に工夫改善を加えることで対応できる。

 しかし、最近、教師が当面している大きな課題は児童生徒の学習離れである。教師は、興味・関心を示すように様々に工夫して授業に臨むが、授業に集中できず学習への意欲を示さない児童生徒が目につく。授業中、分かる喜び、できる喜びなどの表情を表すことはあるが、それは瞬時のことであって集中力は長続きせず、学習への興味・関心は急速に失われる。こうした学習離れの傾向は特定の教科の学習場面だけではない。

 このような学習離れの傾向に適切に対応するには学習指導をどのように工夫改善すればいいのだろうか。教師は発問を工夫したり、少人数学習など多様な学習形態を取り入れたりして、教師としてでき得る努力をしているが、課題の解消には至っていない。

 学習離れの背景には、子どもたちの家庭や地域における生育過程に課題があったり、情報過多などの社会環境が関わったりしていることが考えられる。しかし、教師は教室の中で学力を育む働きかけしかできない。教室から離れた子どもたちの学習環境として、図書教材はどのような役割を果たすことができるのだろうか。

〜図書教材新報vol.94(平成25年2月発行)巻頭言より〜