vol.97

「理科離れ」にどう対応するか
一般社団法人日本図書教材協会会長
菱村幸彦

 理科離れが問題になって久しい。学年が進むにつれて、理科嫌いの生徒が増えているのだ。 わが国の理科離れは、国際的な学力調査でも際立っている。例えば、2011年に行われた国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)では、日本の理科の成績は、国際的に上位を占めているのだが、理科の学習について「自分が望む仕事に付くために良い成績を取る必要があると思うか」という質問に対して「強くそう思う」「そう思う」と回答した生徒の割合は、国際平均の70%に対して、日本は47%と著しく低い。OECDの学習到達度調査(PISA)でも同じような傾向がみられる。

 昨年、文部科学省の全国学力・学習状況調査で初めて理科を調査対象にした。ここでも中学生の理科嫌いが目立っている。というのは、理科が「好き」と回答した小学生は82%もいるのに、中学生になると、それが62%と20ポイントも低下しているからだ。

 なぜ、学年が進むに従って理科嫌いが増えるのか。これには授業の在り方がかかわっているようだ。理科の授業において知識の詰め込みでなく、「観察や実験」を重視している学校では、理科が「好き」という中学生が多い。それも教科書どおりの実験でなく、「仮説をもとに観察・実験の計画を立てさせる指導」や「観察・実験の結果を整理し考察する指導」を行っている学校ほど成績がいい。

 新しい学習指導要領では、理科の授業時数を増やし、観察・実験やレポートの作成などを行う活動を重視している。学習指導要領のねらいに沿った授業が定着するようになれば、理科離れの状況も是正されるに違いない。そのためには、少人数指導のための教員定数の改善や、観察・実験のための理科設備の整備が欠かせない。

 理科離れは、次代の研究者・技術者の育成に悪影響を及ぼし、ものづくりの基盤を危うくする。理科離れ対策は重要な教育課題である。

〜図書教材新報vol.97(平成25年5月発行)巻頭言より〜