一般社団法人日本図書教材協会監事
広島大学名誉教授
二宮 皓
チャットGPTに対する日本政府の対応は欧州のそれとは若干異なる。日本は積極的に活用して国際競争に勝つ機会を伺うべきであると考えているようだ。いいことですね。他方で学校や大学におけるGPTの活用については慎重な意見があるが、私は「GPTと遊ぶこと」を推奨したい。「正解がない課題について」「未来予測について」「外国では」などの質問をすることでGPTと遊ぶことを推奨したい。
さて高齢者の私もいくつかの観点からGPTに質問をすることで遊んでみた。その結果の一部を報告してみたい。GPTは、普遍的というより個別最適な回答を試みるようである。個別最適であるので万人に当てはまる普遍的な回答(正解)であるとは言えない。まったくAIに素人の高齢者の印象であるが。
例えば、日本(日本語で質問)と米国(英語で質問)の高校生の成績向上について尋ねてみると、やはり教育事情の異なりを反映した回答となっている。米国に特徴的なものとして、「GPA(Grade Point Average)にみられるような明確な目標設定を」「課外活動への積極的な参加」「学習への肯定的な態度」といった回答をあげることができる。さらに英語で一般的に高校生の成績改善を尋ねてみると、「教師との肯定的な関係維持」「長所に目を向ける」などの回答があった。
さらに同一の質問を、質問の日時を異にして尋ねてみると回答に違いがみられる。中学生の成績改善方策を尋ねてみると、最初の回答には「食事や睡眠の大切さ」「教科書の理解」「覚えるための勉強方法」などがリスト(6項目)されていたが、別の日の回答ではそれらの回答が姿を消して、「受験範囲や出題傾向の把握」「質問をすること」「モチベーションを保つこと」が新たにリスト(5項目)されている。
本稿の原稿もGPTに代筆してもらったほうが良かったかもしれない?
~図書教材新報vol.217(令和5年5月発行)巻頭言より~