vol.210 更新制廃止後の新たな研修制度

一般社団法人日本図書教材協会前会長
菱村 幸彦

教員免許更新制は制度発足後わずか10年余で廃止となった。法律に基づく教育制度がわずか10年余で廃止となった例を他に知らない。免許更新制の議論は「不適格教員」の排除を求める政治主導で始まっている。教育の実態に即さない政治主導の教育施策にはどこかに無理がある。事実、免許更新制は教育界から終始冷やかな目で見られた。廃止は当然の帰結というべきか。

ただし、免許更新制が廃止になっても教師の研修の重要性は変わらない。研修は教師の責務だからだ。この点について、教育基本法は、「学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」(9条)と定めている。ここでいう「研究と修養」を合わせた言葉が「研修」である。つまり、研修は教師の自主的、主体的な研究と修養が基本である。

教師の研修は国際的な教育原則でもある。66年にILO・ユネスコが採択した「教員の地位に関する勧告」は、「教職は、専門職(profession)と認められるものとする。教職は、きびしい不断の研究により得られ、かつ、維持される専門的な知識及び技能を教員に要求する」と示している。

免許更新制の廃止を決めた教育職員免許法の改正と同時に、教育公務員特例法が改正され、研修記録の作成と資質向上の指導助言など新たな研修に関する規定が整備された。文部科学省は「研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドライン」を公表し、研修履歴の記録の方法や受講奨励の在り方について具体的に解説している。

ガイドラインを読むと、教師の研修に対する学校管理職の役割が重要視されている。新しい研修制度が定着するまで、学校管理職はひと苦労だろう。特に「課題のある教員」(期待される水準の研修を受けているとは認められない教員)への対応は、頭の痛い問題となろう。

~図書教材新報vol.210(令和4年10月発行)巻頭言より~

 

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