vol.213 発達障害の可能性のある子どもたち

一般社団法人日本図書教材協会会長
辻村 哲夫

昨年12月、文部科学省(文科省)から公立小中学校の子どもの約80万人(8・8%)が発達障害の可能性があるとの調査結果が発表された。通常学級1クラスに約3人の割合である。

対象は、読み書きや計算等を苦手とする学習障害(LD)、多動・衝動的な行動をとる注意欠陥多動性障害、対人関係が苦手で特定のことに強いこだわりを持つ高機能自閉症である。

彼らは知的な発達の遅れはないものの、学習面では「四則の混合した式などを正しい順序で計算できない、文字や記号を使った計算ができない、漢字の細かい部分を書き間違える」、行動面では「共感性が乏しい、順番を待つことが難しい、含みのある言葉や嫌みを言われても分からず、言葉通りに受けとめてしまうことがある」等の特徴を示す。

こうした子どもたちはその行動の特徴から周囲の理解を得にくいことや精通した教師の不足などが課題として指摘されるが、彼らの教育の問題は学校教育の基本に関わる問題である。

これからどう取り組んでいくか。

調査では、学年が進むにつれて該当する者の数が顕著に減少している。識者は、個別の教育支援計画や通級指導の実施、授業の工夫などで改善するケースは多いと言う。心強いことだ。

また、2002年の初回調査では6・3%、2012年の前回調査では6・5%であった割合が今回の調査では8・8%に上昇しているが、これは保護者や教師たちに発達障害への理解が深まり発達障害をより正確に認知できるようになった証左だと文科省は分析している。

周囲の無理解はいじめや不登校につながる恐れがあると指摘される一方、教師はじめ周囲の理解認識の深まりや個別の指導の徹底など努力すれば成果は上がるということである。

個別学習、繰り返し学習、つまずきの発見等々、テスト・ドリル・ワークなどが力を発揮する場面だ。「誰一人取り残さない」教育の実現に我々もしっかりと貢献していきたい。

~図書教材新報vol.213(令和5年1月発行)巻頭言より~

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