vol.228 コロナ禍以降の学校

一般社団法人全国図書教材協議会相談役
佐野 金吾

 どこの学校も令和5年度の教育活動はコロナウイルスによる感染症やインフルエンザなどの流行にあまり影響を受けずに無事に修了したようである。私の勤務校でも入学式・卒業式は久しぶりに保護者や来賓の参加を得て通常通りの式典を挙行することができた。生徒にとっても日常の学校生活とは異なる雰囲気を醸し出すセレモニーは貴重な体験となったようだ。

 現在でもマスクを着用している生徒は多いが教育活動に支障を来すことはない。コロナ禍における教育活動には様々な制約を受けていたが、生徒はそれぞれ工夫しながら学校生活を楽しんでいた。どのような制約がかかっても10代の躍動感のある行動を止めることはできない。コロナ禍の中で教育活動が大きく変わったのは各教科・科目等の授業ばかりではなく、特別活動、「総合的な学習(探究)の時間」などの学びの場面でICT端末の活用が活発になったことがあげられる。教科の場合はタブレットのアプリを紙媒体の教科書やドリルなどとともに上手く活用して自分なりの学びに取り組んでいる。授業内容に関わる参考資料をアプリを使って情報収集したり、パワーポイントを使用した表現活動に活用したりするなど、現在、ICT端末は生徒にとっては大切な学びのツールとなっているようだ。

 このたびの改訂学習指導要領では、授業等で身に付けた「知識及び技能」を活用して「思考力・判断力・表現力等」を育むことが重視されているが、パワーポイントを上手に活用することでそのねらいは達成しているが、「主体的・対話的で深い学び」の実現にも有効に作用しているようだ。特に「総合的な学習(探究)の時間」におけるICT端末の活用は学校外の諸機関との連携などに大いに活かされている。令和6年度からいよいよデジタル教科書を用いた授業が始まることになるが、その準備態勢は生徒・教師ばかりでなく保護者も整っているようだ。

~図書教材新報vol.228(令和6年4月発行)巻頭言より~

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