vol.242第38期学校教材調査会に向けて

第38期学校教材調査会社会科専門委員
青山学院大学特任教授
月岡 正明

 ただ今、第38期の学校教材調査会での検討のまっただ中である。私は、もう十数年もの長きに渡り社会科の学校教材の調査に関わってきた。その間、社会科のワークテスト、社会科資料集など学校教材も改良が加えられてきたことを感じている。それは、やはりこの学校教材調査会での検討から出てきた意見を各教材会社が真摯に検討してくださっている成果だと思う。そして、教材会社の方々も学習指導要領の趣旨をふまえながら学校現場や子どもたちによい教材を届けたいという思いで教材の開発、作成に取り組んでいるからだと思う。それは、各社別研究会において調査委員たちによい教材のアイデアを求められることが多いことからもわかる。
 ワークテストなどの学校教材は、学習指導要領に示される資質能力の育成に関わって、子どもたちの学力や育まれている能力などを評価することはもちろんだが、学校現場の教員の意識や授業にも少なくない影響を与えている。先日も、ある小学校の校内研究会で講師を務めた際に、若い教員から、「各教科で探究的な学びは大事だと思うが、ワークテストで問われる内容を子どもたちが学習していない時どうすればよいのか」という質問があった。このようにワークテストで問うている内容は、教員が授業で指導する内容と密接に関連しているのである。
 ワークテストは、教科書準拠が原則と思うが、教科書には学習指導要領にない内容も取り上げていることがある。そうした内容の吟味は、教員にはもちろん求められることである。しかし安直にワークテストに本来学習指導要領が求めていない内容まで取り上げることは何らかの支障を生むことにつながると考える。
 また、学習指導要領実施状況調査から見えてきた課題に学校教材も無関係ではいられない。
 そうしたことを意識しながら、よりよい学校教材の開発に貢献できるよう今期も頑張っていきたいと思う。

~図書教材新報vol.242(令和7年6月発行)巻頭言より~

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