vol.250生成AIは子どもの主体性と深い学びを育てることができるか

一般社団法人全国図書教材協議会会長
細谷 美明

 新しい年を迎えた。今年は次期学習指導要領について答申が出され学習指導要領そのものが告示される予定である。今回の改訂での注目点のひとつに学習指導要領のデジタル化に伴う教材の変化がある。文部科学省の説明によれば、デジタル化される学習指導要領はさまざまなデータとアクセスができるという。例えば、教師が授業の教材研究を行う際に、学習指導要領から自分の学校で使用しているデジタル教科書の関係箇所や教師がよく使う教材へ直接アクセスができるという。
 そんな最中、昨年末に東京都教育委員会が「生成AIリテラシー教材の作成」を発表した。今後学校現場にも普及するであろう生成AIの活用の仕方を、動画なども使い子ども向けに数パターン用意したものである。動画の一例を見ると、中学生が所属する部活動の部員募集ポスターについて生成AIを使い作成するという内容である。
 生成AIは学習の悩みに対する相談、自分の考えに対するアドバイス機能もあるため、近い将来「学校・教師不要論」が真剣に語られる日が来る危機感さえもつ。一方で生成AIが子どもの深い学びを阻害するというデータがある。生成AIの教育利用に関する実態調査を行った研究グループによれば、子どもの38・5%が教師の指示なしで「ブラウザ要約AI」(文章の要約をするAIの機能)を使用しており、子どもが無批判に情報を受容する「浅い学び」の姿勢を身につけるのではないかとの懸念を示している。
 次期学習指導要領では、子どもの主体性に重きを置いており、深い学びをするための探究的な学習が奨励されている。つまり学習の主体が「教師」よりも「子ども」、「教える」よりも「学ぶ」になり、そのため教材も「学ぶ教材」が主流となるということである。教師は「考えさせる」「助言する」存在となり、教材はワークシートなど子どもの考えを表現するもの、あるいは答えがひとつではないものが主役になるということである。2026年、学校は生成AIから目を離してはならない。

~図書教材新報vol.250(令和8年2月発行)巻頭言より~

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