一般社団法人日本図書教材協会副会長
広島大学名誉教授
UMAP(アジア太平洋大学交流機構)アンバサダー
二宮 晧
シンガポールのデジタル教科書は、2028~30年までに開発・実装される計画となっており、教科書の在り方に関する基本的考え方も明確化されている。小学校(義務教育)ではすべて「紙の教科書・教材」、中学校では基本は「デジタル教科書・教材」(人文教科、数学など)。教科書はすべて「有償」である。なお共通語である「英語」についてはいわゆる「教科書」はない(中国語・マレー語等の母語にはある)。高等学校では「教科書」は使われない。
プラットフォーム「SLS」の重要性
「教材」はデジタル化され、国のプラットフォーム(Student Learning Space、以下SLS)で提供されている。国の教育課程(シラバス)準拠教材である。教員はSLSを活用して授業計画を準備し、授業を行う。教員の専門職性が尊重される。個別最適化、自動採点・応答システム、データ駆動などのテクノロジーはすべてこのSLSに組み込まれている。
この仕組みこそが、「ハイブリッド型」といわれるもので、「紙の教科書と紙の教科書に準じた教材(コースブック、生徒用ジャーナルなど)」と「SLSに掲載されるデジタル教材」のハイブリッド活用を指す。特に数学の場合は、出版社のプラットフォームで提供され(アクセス権の購入)活用される。
教員研修とe-pedagogy
ハイブリッド型教科書・教材を適正かつ効果的に活用するためには、教員の養成と研修が「鍵」であり、研修なくして「教員の専門職性尊重」は成立しないと考えられている。年間100時間の研修(コース受講、校内研修、オンラインコース研修など)が義務付けられている。その内実を支えるのが、国立教育研究所が研究・構築してきた「新しいデジタル化時代の教授学(e-pedagogy)」である。
~図書教材新報vol.256(令和8年8月発行)巻頭言より~
