ここでは、学校教育、とりわけ基礎学力と密接な関係にある学校直販教材の採用・使用についての関係法令をご紹介します。

日本国憲法 第26条(教育を受ける権利、教育の義務)

①すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
②すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、これを無償とする。

憲法第26 条の第1項は、子どもの教育権・学習権を保障するもので、第2項は、保護者の義務を定めたものです。ここでいう「法律の定めるところ」の法律とは、『教育基本法』や『学校教育法』などを指しています。

図書教材業界は、子どもたちが”ひとしく”持っているこの権利のため、全国すべての小・中学校で教材が使用できるような価格設定への配慮と供給体制をとっています。

教育基本法 第5条(義務教育)

①国民は、その保護する子に、別に法律に定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。
②義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い、また、国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする。
③国及び地方公共団体は、義務教育の機会を保障し、その水準を確保するため、適切な役割分担及び相互の協力の下、その実施に責任を負う。
④国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料を徴収しない。

教育基本法は、日本の教育の目的・方針を定め、教育の機会均等や学問の自由を保障し、義務教育や学校教育の理念を掲げ、それぞれの定義を行っている法律です。

憲法26条がより具体的に示されているのが、この5条です。

学校教育法 第34条(教科用図書その他の教材の使用)

①小学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない。
②前項の教科用図書以外の図書その他の教材で、有益適切なものは、これを使用することができる。

学校教育法は、教育基本法をさらに具体化して小学校、中学校、高等学校の学校種別ごとに、目的、教育目標、修業年限などを定めた法律です。

この第34 条は、教科書を使用する義務と、図書教材などを自由に使用することができることを定めたものです。

この条項では”小学校”となっていますが、中学校、高等学校についても、別条でそれぞれ同じ規定がされています。

憲法の理念のうち、教育に関して基本的な目的や方針を定めたのが教育基本法であり、それをさらに具体化したのが学校教育法です。上記のように、この学校教育法で、はっきりと教科書以外の教材の使用を認めているのです。

地教行法(地方教育行政の組織及び運営に関する法律)第33条(学校等の管理)

①教育委員会は、法令又は条例に違反しない限度において、その所管に属する学校その他の教育機関の施設、設備、組織編制、教育課程、教材の取扱その他学校その他の教育機関の管理運営の基本的事項について、必要な教育委員会規則を定めるものとする。この場合において、当該教育委員会規則で定めようとする事項のうち、その実施のためには新たに予算を伴うこととなるものについては、教育委員会は、あらかじめ当該地方公共団体の長に協議しなければならない。
②前項の場合において、教育委員会は、学校における教科書以外の教材の使用について、あらかじめ、教育委員会に届け出させ、又は教育委員会の承認を受けさせることとする定を設けるものとする。

『地方教育行政の組織及び運営に関する法律』は、地方における教育行政・組織の在り方を定めた法律です。

この第33 条は、その中でももっとも重要な学校の管理の在り方について定めたもので、教材の取り扱いについては、具体的には各教育委員会の規則で定めるよう求めています。この法律を根拠として、各教育委員会では各種規則を定めたり、通知・通達を出したりしています。

学校管理規則 -例: 東京都公立学校の管理運営に関する規則-

第17条(教材の使用)
①学校は、有益適切と認められる教科書以外の図書その他の教材(以下「教材」という。)を使用し、教育内容の充実に努めるものとする。

第18条(教材の選定)
①学校は教材を使用する場合、第14条により編成する教育課程に準拠しかつ、次の各号の要件を具えるものを選定するものとする。
 1.内容が正確中正であること。
 2.学習の進度に即応していること。
 3.表現が正確適切であること。
②前項に規定する教材の選定に当っては、保護者の経済的負担について、特に考慮しなければならない。。

学校管理規則は、教育委員会ごとに設けられています。その規則が教材の使用に関するもっとも具体的な規定となっています。

ここでは、代表的なものとして東京都の例をあげました。ここにある通り、学校は教材を使用して教育内容の充実に努めること(17条)、また、教材の選定にあたっては、

① 教育課程に準拠していること。
② 内容が正確中正であること。
③ 学習の進度に即応していること。
④ 表現が正確適切であること。
⑤ 保護者の経済的負担に特に考慮すること。
 ―を条件としてあげています(18条)。

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